大学生が名刺をもつメリットとは? 学生団体「アイセック・ジャパン」の代表と次期代表に聞いてみた
名刺交換をしたことはありますか?
名刺とはいわば組織や自身の看板のようなもの。その一瞬で、責任を交換し合っているとも言えます。
「名刺=社会人のツール」と思っている方も多いかもしれませんが、最近は就活やインターンを機に、学生でも名刺をもつ人が少しずつ増えてきています。学生が名刺をもつと、どんなメリットがあるのでしょうか?
今回フィーチャーするのは、まだ大学生でありながら名刺を駆使して活躍するおふたり。全国に約1600人を擁する学生団体「アイセック・ジャパン」に所属する熊本大樹さんと牧原宙哉さんです。おふたりが名刺をもつようになったきっかけや普段の活用方法などを伺いました。
左がNPO法人アイセック・ジャパン学生副代表の牧原宙哉さん、右が学生代表の熊本大樹さん。Sansanにてインタビューを実施。
企業とのやりとりを通じて自分が成長できる
—いつもスーツで活動しているんですか?
牧原:いえ、今日はたまたまです。アイセックの活動にご協力いただいている企業への訪問があり、今日はスーツを着ました。ちょっと硬く見えますよね(笑)。
—企業への訪問なんて、社会人みたいですね。アイセックではどのような活動をしているのですか?
熊本:インターンの国内への受け入れや海外へ送り出す学生の斡旋、協力企業の拡大、プロモーションなどを行なっています。
—学生の活動というよりは、企業の事業活動みたいですね。おふたりがアイセックに参加しようと思ったきっかけは?
熊本:中高時代の先輩がたまたまアイセックに所属していて、活動の話を聞いたらカッコいいなと思ったので、大学生になった2014年に入会しました。
牧原:僕は大学でインターン先を探していたときに見つけたのがアイセックでした。「この先輩たちと一緒に活動したら自分も成長できそうだな」とワクワクしたのが入ろうと思った決め手で、2015年4月に入りました。
—大学生活との両立は大変だと思います。活動するうえでのやりがいはなんですか?
牧原:企業とのやりとりや組織運営の活動を通してさまざまな人と関わるなかで、自分自身が成長できることです。
例えば、アイセックの友人で、1年生のときは斜に構えていたのに次第に活動に打ち込むようになり、今では支部の委員長になった人がいます。経験を積んで成長していく人たちと関わりをもつことで、自分のモチベーションも高まります。
—逆に、大変なことは?
熊本:毎年の新規加入者は約700人いますが、次々と入れ替わるメンバーにアイセックの魅力を伝えるのが大変ですね。それと組織の引き継ぎも難しいです。アイセックの理念や目指してきたことを次の世代に伝えることは大変ですが、それがやりがいにもつながっています。
—企業や海外の人とやりとりする機会が多いと思いますが、コミュニケーションで大切にしていることはありますか?
牧原:まずは信頼関係を構築することが大切だと思います。例えば、スポンサーの人事の方と話すなかで、「君だから協力しよう」と言ってもらえるようになりたいです。
熊本:海外の方が相手だとオンラインで会話をすることが多いので、最初にいかに興味をもってもらい、話を聞いてもらえるかが大事だと思います。アイセックの名刺や肩書きがなくても、一個人として「おもしろうそうなやつだな」「信頼できそうなやつだな」と思ってもらうことを目指しています。
名刺をもらって、組織の一員になれたことを実感
—いま名刺の話が出ました。先ほどおふたりと名刺交換をさせてもらいましたが、名刺をもつようになったきっかけは?
熊本:僕たちは企業の方とのやりとりが多いので、アイセックに入ったときに外回りで使うために名刺を支給されました。
—初めて名刺をもらったとき、どんな気持ちでしたか?
熊本:「社会との関わりがもてた」という実感が湧きました。組織の一員になれたことがとてもうれしかったです。
牧原:僕もうれしかったですね! 大人の仲間入りができた感じがしました。
—確かに、初めてもつ名刺は感動しますよね。普段は名刺をどのように活用していますか?
牧原:主に営業で使います。大学の教授や企業の方、OBOGの方に協賛提供や海外インターンシップを受け入れてもらうためのご提案・ヒアリングに伺ったとき、最初のごあいさつのタイミングで名刺をお渡しします。
—「名刺が役に立った」と思った瞬間はこれまでにありましたか?
熊本:会話のツカミとしては役に立ちますね。相手のバックグラウンドが見えますから、それを踏まえてお話ができます。初対面の緊張をほぐして和むために、小さなコミュニケーションが生まれることがメリットだと思います。
Eightで生まれた企業の担当者とのコミュニケーション
—おふたりとも名刺アプリEightを使っているそうですね。どのように活用していますか?
牧原:アイセックの営業だけで名刺を年間100枚以上はいただくので、このサービスを知ったときに「便利そうだ!」と思って使い始めました。いただいた名刺をスマホで撮るだけでデータ化してくれるので、助かっています。
それに、Eightでつながっている担当の方が異動や転職をされたときに、先方が登録内容を更新してくれると連動してこちらの情報も更新されるので、そのタイミングをみて営業機会につなげることもできます。アイセックでも顧客管理システムを使っているのですが、Eightの場合は先方の近況までわかるのでとても便利ですよね。
熊本:僕はEightで営業につなげたこともあります。ある営業先とつながりのある方にEightでメッセージを送ってみたら、返信をいただいて、新規開拓できたことがありました。営業接点のひとつとしても使えると思います。
Eightのアプリを見ながら活用方法を話してくれた熊本さんと牧原さん。
名刺をもつと普段会えない方とも関係を築ける
—おふたりの周りには、名刺をもっている学生はどのくらいいますか?
牧原:インターンをしている学生はその企業の名刺をもっていることがありますが、周りでは2割くらいだと思います。大学の名刺をもっている人もいますが、多くはない印象です。
—大学生が名刺をもつことに、どんなメリットがあると感じますか?
熊本:名刺をもつ経験は確実にプラスになります。ただの21歳という枠組みを超えて組織の責任を背負い、社会と接点をもてますから。
牧原:ありますね。学生なのでアイセックでの活動は名刺に頼るしかありません。自分がアイセックの副代表だからこそ企業の方は自分と会ってくれます。普段会えない方とお会いすることができて、関係性を築くことができる。それこそが、名刺をもつメリットだと思います。
—アイセックの名刺をもつことで、学生という枠を飛び越えて経験を積むことができるんですね。
学生が名刺をもつメリット
初対面の人との会話のきっかけになる
一学生ではなかなか会えない企業の担当者と関係を築ける
名刺の肩書きから、相手のバックグラウンドがわかる
社会と関わりをもつことができる
ふたりが考える将来のこと
—ちなみに、将来はどんなことをしたいですか?
熊本:僕は、日本でもNPOでお金と人が回るような仕組みをつくっていきたいです。日本では就職=企業に勤めることが一般的ですが、アメリカではNPOの就職率が高く、ちゃんと稼げる仕組みがあります。そういう仕組みづくりに関わっていきたいです。
牧原:いまは漠然としているのですが、自分の関心領域として、ビジネス、政治、ソーシャルの3つがあり、それらを掛け合わせて何かをやっていきたいです。来年はアイセックの代表を任せてもらえるので、組織の課題をよりスピーディに改革していきます。社会に出ても流されることなく志を忘れず、世間体を気にせず、ブレない自分でいられたらと思います。
写真/布川航太 取材・文/山岸裕一